新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界のみならず日本の教育現場でも「オンライン授業」を取り入れる動きが加速化しています。
しかし今まで黒板での授業しか経験していない先生・講師にとっては、いきなりの取り組みが難しいと頭を抱えているケースも多くあります。
今回は「知っておきたい、オンライン授業を成功させるポイント」についてお伝えしていきます。
オンライン環境の整備
操作がしやすいのはパソコン(古いパソコンはNG)
オンライン授業を行うためのツール(アプリ)は、Zoom、Google Classroom、Skype、YouTube・・など、無料でも数多く提供されています。
講師側はパソコン(PC)の他、タブレット、スマホなどのデバイスがあればどれを利用してもオンライン授業を始めることが可能です。ただし、実際にオンライン授業を行う上での制限や、操作のしやすさという面を考えると、やはりPCがおすすめです。初めてオンライン授業を行う場合は特にPCをメインにしましょう。
ここで注目しなければならないのは、「PCのスペック」です。
古いPCではオンライン授業といったものを想定していない設計でツール(アプリやソフト)が入れられなかったり、動作が遅かったりという支障があります。
7年、8年前のPCを未だに使っているのであれば、オンライン授業を成功させることは難しくなります。その点では、新しいタブレットやスマホを持っているのならば、そちらのほうがオンライン授業に向いているケースも多いかもしれません。
Zoomを利用する際の目安は、
・CPUがデュアルコア2Ghz以上(i3、i5、i7相当)
かつ
・メモリが4GB
です。ICTリテラシーを高めるチャンスだと考えて、改めて自分の使用しているPCのスペックを調べてみてください。
途切れない通信環境の整備が不可欠
必要な機材を準備するのと同時に、通信環境の整備も重要です。
通信速度が遅いとそれだけ授業にも支障が出てきます。インターネット通信速度は、無料で調べることができるサイトがありますので、オンライン授業を行ううえで問題ない通信速度になっているのか確認しておきましょう。
利用するツールにもよりますが、目安は1.2Mbps(1200Kbps)です。
光回線の平均速度が20Mbpsですから、光回線であれば問題ないでしょう。
(光回線は86Mbpsだと聞いて導入しても、それはあくまでも理論上の最高値であり、地域や設定によってははるかに低い数値になっていますので注意してください)
モバイルWi-Fiを使用するケースもあると思います。
Wi-Fiは接続されている端末(スマホ、タブレット、パソコンなど)が多いほど通信速度が落ちますので、速度が遅い場合は、授業に必要のないものの接続を外してください。
同じ光回線でもWi-Fiを介するよりも、有線の方が通信速度は速いです。こういった環境の整備は、オンライン授業を成功させるために必要になる準備です。
オンライン授業構築はこれまでのリアル授業とは異なる
生徒の緊張感がまるで違うからこその新しい授業構築
端末や通信速度などのハード面が整備できたら、ソフト面の問題を解決しましょう。
教室で直接対面する授業とは、やはり生徒の集中力の持続も異なりますので、意識しなければなりません。
もちろん授業自体の時間配分や構成があらかじめ考えていなければ、オンライン授業でも成果には繋がりません。生徒に授業をする際の板書作り(実際に黒板を映すパターンもあれば、ホワイトボードの機能などを利用するケースもあります)、提示する資料や、演習時間に解かせる問題、そういったもので何をつかって授業を行いたいか考えましょう。
授業動画の発信であれば講師から生徒への一方向の授業になってしまいますが、オンライン授業の場合は生徒の表情を画面上で確認しながら授業展開していくことができます。
ただしあくまで間接的なので、もしかしたら話が耳を素通りしていて、実はネットサーフィンをしていたり、スマホでSNSをしていてまったく集中できていないということもあるかもしれません。
ですから「どこで発問するのか」「どこで声がけするのか」といった双方向のコミュニケーションを効果的に行っていく意識がけが必要です。
特に低学年になればなるほど、「何がわからないかわからない」となりがちですので、講師の絶妙な合の手が大事になります。
それらの点を想定し、生徒が置き去りにならず、積極的に授業に参加できるようなコミュニケーションを意識してください。
オンライン授業にトラブルはつきもの
特にオンライン授業を初めて行う場合、授業の内容よりも「途中で通信が止まってしまったらどうしよう」という不安が先に立つでしょう。もちろんリハーサルを行ってから実際のオンライン授業を行うと思いますが、リハーサルでは起きなかったようなトラブルが発生することはあります。
「音声が聞こえない」というのは一番よくあるトラブルです。
これも利用するツールによりますが、10回授業を行ったら1回はトラブルが起こると想定しておいた方がいいでしょう。オンライン授業にトラブルはつきものですから、あらかじめ対策を考えておく必要があります。講師側の問題があるかもしれませんし、生徒側の問題の場合もあります(生徒側の通信速度が遅い。通信容量を超えているなど)。
その都度対応していく必要はありますが、講師側の問題の場合はもう一度再起動してみるといった対処をしてみてください。「通信が途切れてしまった場合は各自演習をしている」といった取り決めを事前にする対処法もあります。
私は400回以上オンライン授業を行っていますが、トラブルがあっても最初の5分、10分を費やせば再開できています。ですから授業がまるごと潰れてしまうということはほとんど考えられません。
ただし、そういった状況になったことも想定して授業構築をしていくと、心に余裕をもってオンライン授業に集中できます。
まとめ
やはり最後は授業をする講師の力量で成功するかどうかは決まります。
それには失敗から学ぶということも必要でしょうし、オンライン授業の準備や操作に慣れることも重要です。
ぜひ勇気をもって生徒のためにチャレンジしてみてください。
ウイルスの流行は、ここ十年程度でSARSや鳥インフルエンザなどもあり、これからも避けては通れないリスクといわれています。
また、日本では毎年悪天候による休校もあります。
いまは、無料でできるアプリもたくさんあり、どれも操作はさほど難しくありません。
やってみると、今後の通常授業の際にも有効利用できる点も見つかり、さらに授業の幅は広がるはずです。