積み木の数をかぞえる問題は、小学校受験で頻繁に出題される定番の問題です。
一見簡単そうに見えますが、この問題を解くためには空間認識能力が必要とされるため、苦手に感じるお子さんも少なくありません。
そこで今回は、素早く正確に積み木(ブロック)の数がかぞえられる、おすすめの方法をご紹介します。
小学校受験の対策としてはもちろん、小さいうちから空間認識能力を鍛えて、算数が得意な子どもに育てるための学習方法としても、ぜひ参考にしてみてください。
小学校受験で出題される積み木問題のパターンとは?
小学校受験で出題される積み木の問題には、大きく分けて、つぎの3つのパターンがあります。
- 積み木の数をかぞえる問題
- 積み木の数を比較する問題
- 立体図形を特定の向きから見る問題
具体的にどのような問題が出されるのか、それぞれの例を見てみましょう。
1.積み木の数をかぞえる問題
積み木問題の1つめのパターンは、積ある立体図形を作るために使われている積み木の合計数を数える問題です。
【問題の例】
同じ積み木の数をかぞえる問題でも、少しひねった応用パターンもあります。
【問題の例】
同じ数のものを選ぶ問題では、積み木の数だけでなく、選択肢の数も素早く数えて答えを見つけなければならないので難易度がアップします。
2.積み木の数を比較する問題
積み木問題の2つめのパターンは、積み木の数を比較する問題です。
【問題の例】
この例題では、2つの立体図形に使われている積み木の合計数を比べて、積み木の数がより多い(少ない)方を選びます。
ほかにも、3つ以上の立体図形の中から、一番多く積み木が使われているものを選ぶ問題や、積み木の数の差を答える問題などもあり、いずれも積み木の数がしっかり数えられることが前提となっています。
3.立体図形を特定の向きから見る問題
積み木問題の3つめのパターンは、立体図形を特定の向きから見たときの見え方(四方観察)を答える問題です。
【問題の例】
四方観察の問題は、立体図形の問題のなかでも特に難易度が高く、積み木であまり遊んだことのないお子さんだと、そもそも問題の意味が理解できないことも珍しくありません。
積み木にこだわらず、普段から立体のものを色々な方向から観察する習慣を付けておくことが大切です。
積み木の問題で子どもがつまずきやすいポイント
積み木問題の対策に入る前に、まずは、なぜ子どもが答えを間違えてしまうのかを考えてみましょう。
子どもが積み木の問題でつまずく主な原因としては、つぎのようなことが挙げられます。
- 立体図形を平面でとらえている
- 見えていない積み木をイメージできない
- 数をしっかり数えられていない
それぞれ、どういうことなのかを説明していきますね。
1.立体図形を平面でとらえている
子どもが積み木の問題でつまずく原因の1つめは、絵に描かれた立体図形を平面図形としてとらえてしまうことです。
つまり、紙に描かれた図形を立体だと認識できないのです。
そのため、平面で見えている四角形の数を間違えて数えてしまうことがよくあります。
2.見えていない積み木をイメージできない
子どもが積み木の問題でつまずく原因の2つめは、隠れている積み木をイメージできないことです。
特に、積み木を組み立てて遊んだ経験が少ないと、隠れた積み木の存在を想像することがなかなかできません。
これがペーパーに描かれた図形であれば、なおさらです。
3.数をしっかり数えられていない
子どもが積み木の問題でつまずく原因の3つめは、数の数え方にあります。
例えば、20まで、50まで、など「数のかぞえ方は知っている」という場合でも、「い〜ち、に〜、さ〜ん…」という数え方の癖がついていませんか?
そうすると、実際の積み木の数と、数字の間にズレが生じることがあります。
「いち、に、さん…」と、積み木を数えるリズムに合わせて数える練習をしましょう。
そしてもうひとつ、よくある間違いが、数え忘れ、もしくは重複して数えてしまうことです。
これは、目に入った積み木から適当に数えてしまうために起こります。
ただ数えるだけでなく、リズムよく、順番に数えるのがポイントです。
積み木の問題が得意になる家庭での準備学習
つづいては、積み木の問題を解くための下地作りを紹介していきます。
小学校受験の練習問題に取り掛かる前に、家庭で準備しておきたいのはつぎの2点です。
- 最低20までは数えられるようにしておく
- 空間認識能力を鍛える
1.最低20までは数えられるようにしておく
積み木を数える練習をする前に、最低20まで数えられるようにしておきましょう。
その際に、先ほどお伝えしたように、「い〜ち、に〜」という伸ばす数え方ではなく、短く数える習慣づけや、特定の数字から1つ少ない、1つ多いなどの応用パターンも練習することをおすすめします。
年少さんで、まだ10までしか数えられないという場合は、10個までの積み木で練習すれば大丈夫です。
2.空間認識能力を鍛える
同時に、本物の積み木を使った遊びを通して、子どもの空間認識能力を鍛えましょう。
おすすめの方法は、積み木の絵を描くことと、積み木をお手本通りに組み立てる練習です。
①積み木の絵を描く
積み木が図形として描かれたときに、どのように見えるのかを理解するためには、実際に自分で絵を描いてみるのが一番です。
はじめは積み木1個から。
うまく描けたら、組み立てた積み木に挑戦してみましょう。
その際に、いろんな方向から積み木を観察するのも忘れずに。
②積み木をお手本通りに組み立てる
もうひとつの方法は、お手本通りに積み木を組み立てる練習です。
- まずは、本物の積み木で作ったお手本を見て組み立てる
- つぎに、同じ立体図形を紙に描かれた図形をお手本にして組み立てる
この2つの作業を1セットにして、お手本と同じ図形を組み立てる練習を繰り返します。
お手本の図形は、簡単なものからはじめて、徐々に複雑なものに移行していきましょう。
【小学校受験の定番】積み木の数のかぞえ方
積み木の数のかぞえ方はいくつかありますが、一番わかりやすくて、間違いな少ないのは、縦のラインで数えていく方法です。
数え方
縦のラインで積み木の数をかぞえる方法では、それぞれの列を1つのビルだとみなします。
そして、各ビルが何階建てなのかを数えていきます。
まずは実際の積み木で数えてみましょう。
積み木の一番上を階数分だけ指で軽く叩きながら、「1,2,3」(トントントン)、「4,5」(トントン)というように順番に数えていきます。
積み木で数えられたら、同じ図形を問題用紙で数えてみます。
問題用紙で数えるときは、指でトントンする代わりに、積み木の一番上に、階数分だけタテ線で印を付けていきます。
このタテ線の合計が、使われている積み木の合計数(=答え)です。
この方法なら、図形が複雑になっても、数え忘れをすることなく、正確に積み木の数をかぞえることができます。
見えない積み木が数えられないとき
縦のラインで積み木を数えていくとき、隠れている部分が何階建てなのかを瞬時に想像する力が必要になります。
問題用紙でうまくいかない場合は、本物の積み木で数える→同じ図形を問題用紙上で数えるという訓練を繰り返しましょう。
【上級編】積み木をかたまりで数える方法
幼児教室や塾などでよく指導されるもうひとつの積み木の数え方に、下記の形を8個だと暗記する方法もあります。
この形を基本にして、この形より1つ少ない、2つ多いといった計算をしていきます。
積み木をすべて数えなくていいので、より素早く、正確に答えを出せるのがメリットです。
ただし、8個にこだわる必要はありません。
例えば上の問題では、8個より1個少ないから7個という考え方もできますが、4個のかたまりを見つけて、4個より3個多いから(もしくは、4のつぎから数えはじめて)7個、というように答えを導き出すことも可能です。
図形をみた瞬間に、子どもが自分自身にとってわかりやすいかたまりを見つけられれば、基本にするかたまりは何個でもかまいません。
数の比較問題にも応用できる
積み木をかたまりで数えるテクニックは、数を比較する問題で、積み木の数が多いときにも役立ちます。
【例題】
例えばこの問題では、それぞれの積み木の正確な合計数を知る必要はありません。
むしろ、一個一個数えいていては、時間オーバーになってしまうこともあります。
そんなときに、8個のかたまりを見つけることができれば…
数えるのは、かたまり以外の積み木だけになり、問題を解く時間をいっきに短縮できますよね。
横から数える方法
積み木を数えるときに、縦のラインではなく、横のラインで数える方法もあります。
視点が変わっただけで、縦のラインで数える方法と同じですが、図形によっては、数え忘れが起こりやすいのがデメリットです。
そのため、縦のラインでで数える方法で問題を解いたほうが確実といえるでしょう。
しかし、立体図形の問題は、小学校受験が済んだら終わりというわけではありません。
立体図形を別の方向から見たり、いろいろな問題の解き方を応用してみることは、将来的に子どもの空間認識能力にとってプラスになります。
ときどき、視点を変えて、横から積み木を数える練習もしておいて損はありません。
積み木問題の学習に役立つ無料支援ツール
小学校受験の積み木の問題は、なんども繰り返し解いて練習することが大切です。
そこで、家庭での学習に活用できる、無料の支援ツールをいくつかご紹介します。
ぷりんときっず
積み木問題のプリントが、無料でダウンロードできる学習支援サイトです。
簡単・普通・難しいの3段階にレベルがわかれており、数をかぞえる問題だけでなく、数を比較する問題もカバーされています。
ぷりんときっずー積み木問題
Tinkercad(ティンカーキャド)
Tinkercadは、小学生などでも学習に取り入れられている無料のオンライン3Dモデリングプログラムです。
お子さんと一緒に立体図形を作って、360°いろいろな角度から見え方を確認できるのはもちろん、家庭学習用の問題作りにも役立ちます。
※デフォルトでは英語表示になっていますが、ホームページの言語設定で日本語版に切り替え可能です。
Tinkercad(ティンカーキャド)
積み木問題のWEBアプリ
オンラインで積み木の数をかぞえる練習できる無料WEBアプリです。
さまざまな難易度の問題が出題されるシンプルなアプリなので、親子で一緒に楽しみながら繰り返し練習できます。
※WEB版のアプリなので、スマホでは使用できません。
積み木問題のWEBアプリ
まとめ
この記事では、小学校受験で頻出する積み木の数をかぞえる問題の解き方をお伝えしました。
基本的には、それぞれの列ごとに数える方法を使えば、複雑な図形であっても正確に積み木の数をかぞえることが可能です。
おそらく子どもにとっても、これが一番わかりやすい解き方だといえます。
とはいえ、空間認識能力は、算数が得意な子どもに育てるためには必要不可欠。中学・高校受験でも必要になるスキルです。
いきなり問題の解き方のテクニックだけを教えるのではなく、普段の遊びや学習に、子どもの空間認識能力を高める工夫を取り入れることをおすすめします。