2020年1月のセンター試験を最後にして、大学入試の仕組みは大きく変更していきます。2021年から実施される「大学入試共通テスト」からは、これまでの知識詰め込み型の学習では対応が難しい、「思考力や判断力、表現力」などが問われることになるのです。
はたして幼い頃からの勉強はどのように変えていけばいいのでしょうか?
これまでのテストで問われた知識力
これまではどれだけの知識を蓄えることができたのか、それをマークシートで答える入試制度でしたから、「覚えること」「インプットすること」が中心の学習でした。
どれだけたくさんの漢字を書けるようになったのか、どれだけたくさんの漢字を読めるのかが大切だったわけです。これは高校入試、中学入試に共通した流れでもあります。
例えば、これまでの入試であれば「おごそか、という言葉を漢字で書きなさい」「おごそかに適した漢字を選びなさい」といったものでした。「厳か」という漢字を知っていればそれで得点になったのです。
ひたすらインプットしておけば充分に対応できるテストだったのです。しかし、国際競争の激しくなってきた現代において、もはや知識を有しているだけではアドバンテージにはなりません。これからの時代は「インプットした知識をいかに使えるのか」ということを問われていくからです。「アウトプットに卓越してこそ、国際競争に対応できる人材」ということになります。
これからテストで問われる応用力
大学入試の仕組みが大きく変わったことで、2014年より学校指導要領も変わっています。そこでよく登場するようになった言葉が、「アクティブラーニング」です。周囲のメンバーと協力し合って問題を解決したり、自分の意見を発表することに重きが置かれています。まさにアウトプットを鍛える学習です。
入試でも「おごそか、という言葉を漢字で書きなさい」ではなく、「厳かという漢字を使って文章を作成しなさい」という内容に変わってきます。こうなると、ただ漢字を覚えているだけでは通用しません。
漢字を知っていることは当然のこととして、どんな場面で使うべきなのか、どのように使うべきなのかもしっかりと学習しておく必要があるわけです。
親は日頃からどう子供に接していけばいいのか
アウトプットの力を伸ばしていくうえで、大切になってくるのが親子のコミュニケーションの場面です。会話のキャッチボールの多い家庭では、6歳から7歳で語彙数が1万を超え、10歳では15,000に達するといいます。
しかし大切なのは、言葉を知っていること以上に、それが適切な場面で仕えるかどうかです。それには、親が適切な場面で必要な言葉を使っているのかどうかが重要になります。
例えば、親子で深夜に初詣に行った際、並んでいる境内で、母親が「とても厳かな雰囲気ね」と口にしたとしましょう。子供は、新年を迎えるこのピリッとした引き締まった雰囲気が厳かというものなのだと、イメージで覚えることができます。
しっかりとイメージを伴って覚えた言葉は、子供も使うことができるようになります。つまり、この機会にこういった言葉を覚えてもらいたいという親の準備や援助が、子供のアウトプットの力を伸ばすうえでも重要だということです。
まとめ
これからの時代は、自分の気持ちや意見をいかに的確に相手に伝えるのか、相手の気持ちをいかに汲むことできるのかが問われていきます。それは日本語に限らず、英語においても同様です。
旅行をしたり、美味しいものを食べた際など、心が動く場面では、イメージの湧きやすい絶好の機会だと考えて、新しい言葉を使って子供に伝えてみるということが効果的ではないでしょうか。幼い頃からのこのような生活習慣が、子供のアウトプットの力を確実に高めていきます。