算数ぎらいの子どもを家庭でフォローする3つのヒント

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小学校の早い段階で算数につまずいてしまう子は意外に多いものです。

「うちの子、算数がきらいなんだって。困ったなあ。どうしたらいいの?」

大丈夫、つまずきを見つけるのが早ければ早いほど、対処も簡単です。

しかし「算数ぎらい」を放置したままでいると、「勉強ぎらい」「学校ぎらい」につながりかねません。

「日本の子どもたちは自己肯定感が低い、小学3年生と中学1年生に特に注意を」によると、日本の子どもの自己肯定感は、世界的に見ても低いことがわかっています。

子どもの自己肯定感

2016年 文部科学省

特に、子どもの自己肯定感は、小学3年生と中学1年生で下がっています。その原因のひとつには「算数」「数学」についていけなくなることが指摘されています。

 

学力と自己評価の関係

2016年 文部科学省

 

「自己肯定感」、つまり子どもが自分自身を大切に思う気持ちをすこやかに伸ばしていくためにも、算数に対する「きらい」「苦手」意識を早い段階で克服する必要があります。本記事では、家庭でできる苦手意識克服のヒントをご紹介します。

ヒント1:「苦手感」を取り除く

家庭では、勉強前の「気持ち」を大切にしてください。算数がきらい、苦手という意識を持っている子どもの多くは、学校で算数にまつわるイヤな経験をしています。

できない問題があった、計算が遅かった、教室ではずかしい思いをした…。こうしたイヤな経験を払拭できるほどの成功体験を、家庭で積ませてあげましょう。

成功体験といっても、別に特別なことではありません。生活の中でタスクを与え、その成果をほめるのです。

例1:千円札を1枚渡して、何品か自由に組み合わせながら買い物をしてきてもらう
→「買い物上手だね。計算が得意なんだね」と評価する。
副次的な効果:最適な組み合わせを考えるために、何度も3桁の計算を繰り返しているはず。計算力が養われる。

 

例2:複数の店舗を回るおつかいを頼む
→帰ってきたら、一緒に地図を書き、ルートを確かめ「効率的なルートをたどってるね」と評価する。効率的ではないルートをたどっていたら「よくいっぱい歩いてくれたね」とねぎらう。
副次的な効果:地図にすることで、図形的な感覚が体験とともに養われる。

 

例3:計算を頼む
「レシートがなくなったから家計簿がつけられない!1000円お財布にいれてたのに、今460円しかないの。ってことは、お母さん、いくら使ったんだっけ?」

→間違えたら「一緒に数えてみよう」と100円や10円で一緒に数える。うまくできたら「すごいね、さすが学校で算数、がんばってるね」とほめる

いずれも「ほめる」「評価する」がポイント。計算や図形の把握などの副次的な効果より、重要なのは、「ほめられた」「自分の存在がみんなの役に立った」という成功体験です。

「おやつを3等分する」「キャットフードの消費量を計算する」など、各家庭に合った「タスク」を見つけ、責任を果たしたら評価してあげてください。あまり勉強っぽくならないように、プレッシャーをかけないように気をつけてくださいね。

 

ヒント2:遊びやゲームを使う

数の扱いや計算、図形に慣れるには、遊びが一番です。

折り紙は、直線や角、三角形、四角形、六角形など、基本的な図形の感覚を養うのに優れています。図形パズル、レゴブロック、ジグソーパズルなど、子どもが興味を持つものがあれば、積極的に遊ばせてあげてください。中学、高校と、幾何分野を学ぶ上で、図形の感覚を持っていることは大きな強みになります。

 


また、ゲーム「あつまれどうぶつの森」を一緒に遊ぶこともいいですね。

「あつまれどうぶつの森」は、家のデコレーションのために単純な足し算や引き算をすることから始まって、株の複利計算に至るまで、計算の要素がたくさんあります。

ポイントは、保護者が一緒にやることです。買って与えても、能動的に遊べる子どもばかりではありません。保護者が一緒に楽しむことで、コミュニケーションも生まれます。

 

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ヒント3:数字や図形を書く機会を作る

 

算数に対して苦手意識を持っている子どもの中には、すでに数字自体に拒否感を持っている子がいます。

学校で先生や友達に何か言われたり、クラスのほかの子と同じようにできなかったり、といった、保護者から見れば些細な体験が、心の傷となって、数字を見るだけでそのことを思い出してしまうような状態になっています。

心の傷を、成功体験で上書きしてあげましょう。「自分にもできる」「自分ができることで、ほかの人の役に立てる」という体験は、子どもにとって心の栄養です。そんな機会をどんどん作ってあげてください。

 

例1:家計簿や保護者のノートにページナンバーをふってもらう
例2:家族用のカレンダーを作ってもらう
例3:家族用のスケジュール表を作ってもらう
例4:ゴミの分別表を作ってもらう

 

数字や表、図形は、繰り返し書くことで、心理的な抵抗感がなくなります。「依頼された仕事を果たす」ことを通して、自分の存在が役に立つという自己肯定感も生まれます。

 

「できるから好きになる」=「できる」経験を積ませてあげよう

子どもが「算数がきらい/苦手」という意識を持つようになるきっかけというのは、さまざまなものがあります。何とかして得意になってもらいたい、と、必死になって教えようとする保護者も多いです。

保護者が教えることで、うまくフォローができればいいのですが、実際にはこじれてしまうケースもしばしばあります。学校でつまずき、家で叱られてしまうと、子どもの苦手意識や拒否感は、決定的なものになってしまいます。「できない自分はダメな子どもなんだ」と自己否定の感情も生まれてしまいます。

何よりも大切なのは、勉強ができることよりも自己肯定感を持つことです。しかし、学校では勉強ができないと、自己肯定感も持ちにくくなっています。

算数がきらい/苦手」の気持ちを取り除き、自己肯定感が持てるよう、子どもに合わせ、それぞれの家庭の事情に合わせて、できることを考えてみてください。

低学年の間の「算数」は、勉強というよりも、むしろ生活の延長にあります。数を数えたり、図形を把握したりすることで、生活はもっと楽しく、豊かなものになる、ということを、実感させてあげてください。

そのためには、保護者も一緒に楽しむことが一番です。子どもは保護者に喜んでもらいたいといつも願っています。一緒に数を計算したり、ゲームをしたりして楽しんでくださいね。

この記事を書いた人

大手塾で働いてきた知識と、自身が子育てを行なってきた経験を元に、執筆を行う。自分の子供の受験も経験し、塾講師としてまた母親としての視点から、受験や塾に関して意見を書けることを強みとしている。
塾を退職後は、自身で小さな学習塾を開いている。

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