たきのい幼稚園は設立以来、独自の教育方法で多くの支持を集めています。以下に、園の取り組みと教育方針について、渡辺なをみ園長のインタビューをもとにご紹介します。
たきのい幼稚園の教育目標
ーたきのい幼稚園は、個性的な教育方法で多くの支持を集めていると伺いましたが、どのような教育目標を掲げているのでしょうか?
渡辺園長: そうですね。たきのい幼稚園の教育目標は、単に「知識」を詰め込むのではなく、将来の基盤となる「人間性」を育むことです。子どもたちが自分の力で考え、行動し、責任感を持てるようになることを大切にしています。
また、幼少期は脳が急速に発達する大切な時期です。言葉は耳で聞いて10%、目で見て覚えた事は20%、その後、その内の65%が記憶に残ると言われています。
人間の大脳は誕生時に約600gで、6歳頃までに1000gまで発達することがわかっています。このため、私たちは幼少期にさまざまな経験を通じて、子どもたちの脳に豊かな刺激を与えることを心がけています。
たきのい3つの約束
ーたきのい幼稚園は、規模の大きな園にもかかわらず、園児一人ひとりに丁寧な指導が行われているのが印象的です。そのための具体的な取り組みとして、「たきのい3つの約束」があるのですね?
渡辺園長: はい。「挨拶は自分から先にする」「返事ははいとはっきりする」「履き物は揃え椅子は入れる」という三つの約束を教育の基本に据えています。挨拶ができることで相手を尊重し、名前を呼ばれたら元気に返事をすることで人の話を素直に聞く心を育てます。こうした行動の積み重ねが、子どもたちの自信と自己管理につながると考えています。
特徴的な取り組み「草履教育」
ー たきのい幼稚園は設立されて以来、固定概念にとらわれない、個性的な教育方法を実践されているそうですね。特徴的な取り組みについても教えてください。
渡辺園長: たとえば「草履教育」です。平成7年から健康的な足作りを目指して、素足に草履を履く取り組みを始めました。もともと園庭は土で、雨が降るとぬかるみになり、子どもたちがよく転んでいました。そこで埼玉の幼稚園で実践されていた「草履教育」の話を聞き、早速見学に行ったのです。
−草履教育の導入には、砂の準備なども苦労があったそうですね?
渡辺園長:ええ。園庭の土を全て掘り起こし、栃木や茨城から砂を取り寄せて敷き詰めたんです。雨ざらしで洗い、衛生面に配慮しながら整えました。準備は大変でしたが、子どもたちが転びにくくなり、健康的な足に育つ様子を見て、やってよかったと思います。
−実際に草履教育を導入したことで、子どもたちにどのような変化が見られましたか?
渡辺園長:転ぶ子が少なくなり、足のバランスが良くなるのが目に見えてわかりますね。また、草履の管理や揃える習慣も身につけることで、子どもたちの自立や自信の向上につながっています。
姿勢を意識する「立腰教育」
ーたきのい幼稚園では、姿勢を意識する「立腰教育」も行っていると伺いました。
渡辺園長: はい。腰骨を立ててまっすぐな姿勢を保つことで、集中力や落ち着きを養うことを目指しています。普段の授業や日常生活の中で、「背筋を伸ばそう」「腰を立てよう」と声がけを行い、子どもたちの姿勢を少しずつ意識させています。
漢字教育での取り組み
ーまた、漢字教育にも力を入れていると伺いましたが、幼稚園で漢字を教えるのは珍しいですね。
渡辺園長: はい、漢字交じりの絵本を通じて、少しずつ子どもたちが漢字に親しめるようにしています。漢字があることで、子どもたちが文章の内容を自然に理解しやすくなり、語彙も増えるんです。本が好きな子が増えるといいなと願っています。
保護者への対応と防災への取り組み
ー個性的な教育方法を実践されているたきのい幼稚園ですが、保護者からはどのような反応がありますか?
渡辺園長: そうですね。やはり私たちの教育方法には個性があるので、保護者の皆様には事前に丁寧にご説明するようにしています。「教育方針をご理解いただいた上で、納得してご入園いただきたい」と話しています。自園の教育方針が他の園とは異なる点をしっかり納得いただいたうえでご入園いただいています。
ー幼稚園では教育内容の一環として、防災面にも配慮されていると伺いました。園内に井戸も設置されているそうですね。
渡辺園長: はい、珍しいかもしれませんね。災害時に備えて井戸を設置しています。普段から園内の手入れや環境整備にも井戸水を活用し、子どもたちも自然と井戸の存在に親しんでいます。