こんにちは、おしぃです。
東京都千代田区飯田橋
その飯田橋の一角にある小さな公園
このお話は、その公園に住む2匹のアリ
「イーダ」と「チョーダ」のお話です
チョーダ:「ちょっとよか?」
イーダ:「ん?どうした?」
チョーダ:「今日うちのチームさ、カナブン担当やったとよ」
イーダ:「うん」
チョーダ:「カナブンって滑るし、結構重かやん?」
イーダ:「うんうん、そうだね」
チョーダ:「ここんとこ、暑かけんさ」
イーダ:「うん」
チョーダ:「リーダーの隙ばついてサボっとったらくさ」
イーダ:「あ~ばれて怒られた?」
チョーダ:「そう、それが説教が長かとよ」
イーダ:「自業自得だろ(笑」
チョーダ:「サボる事ばっかりで、
おまえは自分の将来をどう考えてるんだとか」
イーダ:「チョーダ、サボり方がヘタだよな」
チョーダ:「それで、俺さ、言ってやったとよ」
イーダ:「何て?」
チョーダ:「チーム内だけでも1000アリくらいおるとに
出世とかどうせ無いやろ?と」
イーダ:「・・・・」
チョーダ:「そしたらリーダーちかっぱ怒ってさぁ」
イーダ:「そりゃそうだろ・・・」
チョーダ:「お前がアリとして、どう命を使うんだとか何とか」
イーダ:「多分、うちのリーダーでも同じ事言うわ・・・」
チョーダ:「ちょうどそこでくさ」
イーダ:「うん」
チョーダ:「リーダー、”ぷち”って人間に踏まれてさ」
イーダ:「はい???」
チョーダ:「人間に踏まれて、ぺっちゃんこ・・・」
イーダ:「いきなり?」
チョーダ:「そう、いきなり・・・」
イーダ:「えー!それ、リーダーまで巣に運ぶ事になるじゃん」
チョーダ:「そうたい、仕事量が2倍になったとよ・・・」
イーダ:「あらら・・・」
チョーダ:「でも、まあ、あの説教がもう聞けないと思うとさ」
イーダ:「切ないな・・・リーダーまで出世しても一瞬で終わりか・・・」
チョーダ:「うん、久しぶりに真面目に仕事ばしたわ」
イーダ:「それで新しいリーダーは誰になったん?」
チョーダ:「リーダーば運びながらくさ、新しいリーダーば決めよったとよ」
イーダ:「うん」
チョーダ:「それがさ、みんながチョーダをリーダーにと!!」
イーダ:「ええええええっ!!!まさかの出世っ!!!」
チョーダ:「ようやくこの日が来たかと、俺が俺になる日が来たかと」
イーダ:「あ~、もうこれからは敬語だな・・・すげえや・・・」
チョーダ:「でもさ・・・」
イーダ:「うん?でも??」
チョーダ:「それがくさ、巣の入口あたりでリーダーが目覚ましてさ」
イーダ:「えー!!生きてたの?!」
チョーダ:「こらー!やめろー!俺はまだ生きてる!やめー!って・・・」
イーダ:「リーダー、タフだな(笑」
チョーダ:「聞こえんかったフリして冷蔵庫に入れちゃえ!ってどれだけ思ったか・・・」
イーダ:「いや、でも良かった、チョーダが遠い存在にならなくて(笑」
チョーダ:「バッタのヒロシがさ、その一部始終を見てくさ」
イーダ:「あ~、ヒロシいつも暇だしな」
チョーダ:「チョーダくん、いつまで組織に縛られてるんだ、と」
イーダ:「でた、”くん”付け(笑」
チョーダ:「時代はフリーランスだよ!とか言うけんさ」
イーダ:「あいつ自由だもんな~」
チョーダ:「うるせえバッタ!
そげんとやけん冬に困るったい!!って言い返したら」
イーダ:「あ~、バッタにそれ言ったら駄目でしょ・・・」
チョーダ:「殴り合いの喧嘩になってくさ・・・」
イーダ:「だよなあ・・・」
チョーダ:「なあ、イーダ・・・」
イーダ:「ん?」
チョーダ:「人生っていったい何やろうな・・・」
イーダ:「いや、俺らアリやし・・・」
チョーダ:「じゃあ言いなおす、アリ生って何やろうな・・・」
イーダ:「う~ん・・・」
チョーダ:「俺も何千匹の中の1匹として終わるとやろか?」
イーダはしばらく考えていたが、
ポケットからスマートフォンを取り出して
あるアプリをチョーダに見せた。
イーダ:「これやってみたら?」
チョーダ:「ん?”人生のエンドロールA”??」
イーダ:「自分で自分のプロフィールを登録しておくとね」
チョーダ:「うん」
イーダ:「適当にアプリが人生を作成して
エンドロールとして振り返れるようになるってわけ」
チョーダ:「ほ~、曲も流れるんやね、良かね~これ」
イーダ:「まあ、かなり破天荒な人生にされちゃうけど(笑」
チョーダ:「作成したエンドロール、ネットに登録できるやん」
イーダ:「うんうん、人のを見ても面白いよね」
チョーダ:「まあ、俺には必要なかね・・・」
イーダ:「ん?」
チョーダ:「良く考えたらくさ、何千匹っていう家族に囲まれて、
それだけで俺は幸せたい」
イーダ:「そうだな、アリの特権だな(笑」
チョーダ:「あれ?イーダ、ちょっとこれ見て・・・」
イーダ:「あ!」
チョーダ:「ヒロシの奴、エンドロール登録しとるやん!!」
イーダ:「ええええ!!」
チョーダ:「あいつ・・・キザでむかつくけど・・・」
イーダ:「色々あるんだなぁ・・・バッタにも・・・」
チョーダ:「色々あるとやねえ・・・」
2匹は、しばらく無言で遠くを見ていた。
チョーダ:「俺、明日ヒロシに謝るわ!」
イーダ:「そうだな」
チョーダ:「むかつく奴だけど友達やしな!!」
イーダ:「友達!!」
チョーダ:「友達!!」
イーダ:「友達!!」
チョーダ:「友達!!」
次の日、謝る為にヒロシに話しかけたチョーダだったが
ついついエンドロールを登録してる事をからかってしまい
再び大喧嘩になったのであった。
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