小学校の入学前は、子どもの成長を喜んだり大きな環境変化に親子でドキドキ期待も膨らむ一方で、 就学前にどんな準備をしておけばいいのかと不安になる親御さんも多いと思います。
私の息子は保育園の年長なので、来月の就学前検診と、年明けの入学説明会をこなせば、来年の春にはいよいよ小学1年生。あっという間の入学です。
今回は、年長の時期に本当に必要なこと、やっておきたいことを前編・後編の2回に分けてお伝えしていきます。
小1プロブレム
学力低下にもつながりかねない「小1プロブレム」(小1問題)という言葉を知っていますか?
年長の時期に、身の回りのことを自分でできるようにしたり、人の話を聞く姿勢など家庭でできることを身につけておけば、小1プロブレムを防ぐことにつながります。
授業を受ける前に、子どもがさまざまなことに興味関心を持ち、学ぶことは楽しいと知っていることが大切です。
学びの基礎をつくるには、まず言葉の学習準備が必要です。
授業が分からない→つまらない→集中できない→座っていられない
それでは、言葉の習得についてみていきましょう。
【言葉の習得】ひらがな50音表が読めても言葉は読めない?!
現代では保育園や幼稚園に行く子の割合が多く、園でひらがなや数字の読み書き、簡単な足し算や引き算を教えているところも少なくありません。また親御さんの教育意識も高くなり、家庭で教えている方も多いようです。
そもそも、ひらがな50音表を読めるようになっても単語読みがスムーズにできるとは限りません。
例えば「り」「ん」「ご」のひとつひとつのひらがなを読めても、「りんご」とは読めず果物のりんごをイメージできない子どもが増えているそうです。
「りんご」として読めないということは音読ができません。言葉の意味が分からずイメージできないということは、本や教科書を読んでも内容が理解できないということです。
ではどうしたらいいのでしょうか?
【音韻意識】「話し言葉」と「書き言葉」と「意味」をつなげる力
小学校1年生になると、言葉を通してのやり取りやお話はとても上手です。
ひらがな清音46文字の1字読みの正答率は、20年前からほぼ変わらず年中児で平均35文字、年長児で43文字という調査結果があります。
しかし、ここ1~2年の傾向として、ひらがな50音表は知っていても、音読して内容を理解したり、自分の考えを文章で書くことに苦手意識を持つ子どもたちがとても増えているそうです。
それは聞き取った言葉を音韻(モーラ)で分けることが出来ていないためです。
ひらがな50音表で一文字読みができても、言葉を音韻に分けることができていなければ、読む力が育たないんですね。
1年生になって文字を習い始めの頃は、1文字ごとに音韻変換して読むので1文字1文字の追っかけ読みになります。その処理能力が徐々にスピーディーになり、次第に無意識に変換できるようになることで、いちいち音韻変換せずに文字をみるだけで意味が分かるようになってきます。
音韻意識が発達すれば、「り」「ん」「ご」という3つの音がひとまとりになって単語となり、果物の「りんご」をイメージすることができるようになります。音韻意識が発達する4~5歳頃から、言葉を逆さ読みする“逆さまことば”をしたり、“しりとり”などの言葉遊びが大切になってきます。
論文 幼児の音韻意識の発達とひらがな読み習得の関係(深川 美也子)
親子でいろいろな言葉遊びを楽しむことで表現力も豊かになり、小学校入学後の学習もより楽しくなると思います。勉強とは違った形で言葉と触れ合える、言葉遊びを小学生になる前にしっかりしておくことが大切です。
令和元年度、就学前検診における音韻検査「逆さまことば」の結果、3文字(3モーラ)の逆さま言葉問題で5問中4問以上正解した子どもはわずか2割という報告もあります。
まとめ
いかがでしたか?
小学校へ入学する年齢が7歳というのは、文字や言葉を使って学ぶのに適した発育をしてくる年齢ということなのかもしれませんね。すでにひらがなの読み書き練習に取りくまれているご家庭も多いかと思いますので、小1プロブレムにならないためにもぜひ参考にされてみてください。
後編では、言葉遊びの方法や我が家が実際に取り組んでいる学習準備についてお伝えしていきます。