空間認識能力を高めるには小学校低学年までの訓練が重要【前編】

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物体をイメージしていろいろな角度から見ることができる力、物体をイメージの中でバラバラに分解したり、逆に組み立てたりする力を「空間認識能力」といいます。

積木やパズルなどは、空間認識能力を高める代表的な知育玩具ですね。

ボールを目標の距離まで投げたり、飛んでくるボールを掴むといった力や、遠くにいる相手との距離感を計るなどにも関係しますので、スポーツの分野でも注目されています。

そしてこの能力は同様に勉強でもとても重要です。
この力がないと、いざ受験勉強をしていこうとなったときに、大きくつまづく要因となってしまう場合もあります。

中学・高校受験で重要なのが「図形問題を解く力」

高校入試では数学は、「計算領域」(文章問題含む)、「関数領域」、「図形領域」に分けられます。

そして、この中で最も難度が高くなるのは図形領域です。

図形領域では、面積や体積を求めるため、正確で素早い計算力が問われるのはもちろんのこと、相似や三平方の定理といった要素の理解も必要です。

相似に関しては小学生の時期の拡大図・縮図という単元で学習するため、難関中学校受験では、一般の中学生でもほとんど解けないような難問の図形が出題されます。
受験対策をせずに学校の授業だけ受けている状態だと、まったく太刀打ちできません。

このように中学・高校受験で差が開いていくのは、「図形問題を解く力」なのです。

 

図形問題の得点が低いのは「図形がイメージできない」

 

なぜ図形問題では得点が取りにくいのでしょうか?

 

ひとつは、図形問題はいろいろな知識を活用しなければ解くことができないということが挙げられます。図形の形を読み解く能力から、計算式をきちんと記憶しているか、求められている答えの数値を出すにはどの計算式を用いるのが正しいのかなど、正答を導くまでのステップを増やせば増やすほど、正答率は下がっていくものだからです。
ひとつひとつのステップを丁寧に乗り越えていく力が必要になります。

 

もうひとつ図形問題には大きなハードルがあります。
それは図形をイメージできるのかという、知識とはまったく別の問題です。
図形が回転し、その際に1辺が通過する範囲の面積を求めよといわれても、テスト用紙には回転した後の図形が描かれているわけではありません。どのように回転させたらいいのかなど、自分でイメージしなければならないのです。
平面図形が軸を回転して空間図形になるケースも多く出題されます。

 

ここではすぐに図形がイメージできる子供と、まったくイメージできずに手も足も出ない子供に分かれます。つまり図形がイメージできない子供が多く、解けずに正答率が下がっているという要素も大きいわけです。

 

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小学校低学年からイメージする力を鍛えるべき

 

ここでポイントになるのは、中学3年生の受験期になって、図形をイメージする力を養おうと演習を繰り返しても、空間認識能力を高めることは難しいということです。
これは私自身も17年間教壇に立って、何千人という生徒を指導してきましたが、最も解決しにくい課題でした。
特に空間図形に関しては、イメージできない子供はどれだけ説明しても「見えない」のです。頭の中で想像しようとしても、具体的な形がイメージできず、うまく処理ができません。

 

実は、空間認識能力は「8歳までに大きく伸びる」とされています。
これは推測力や記憶力、言語表現力などと同じです。10歳以降は脳が大人と同じになりますので、ここから伸ばすことは至難の業です。つまり、8歳までに図形をイメージする力を養うことができれば、それ以降も困ることなく用意に想像をすることが可能ということです。

空間認識能力は、直観力や創造力を司っている右脳の働きが重要になりますので、幼稚園児の時期や小学校低学年の頃から右脳を使い、イメージ力を鍛えておくことが、将来的に図形の難問を解くことに繋がっていきます。

 

実際にどのように鍛えていくべきなのか、小さなうちからできることを、大袈裟ではなく、日常の中から探していきましょう。
子供の8歳までの時期に、親はどう関わっていくべきなのかなども含め、続きは後編でお伝えしていきたいと思います。

 

まとめ

今回は空間認識能力の重要性についてお伝えしてきました。
中学3年生も演習を繰り返せば、パターンによってはある程度の図形問題を解くことができるようになります。
しかし、根本的なイメージ力を向上させることは難しいので、早い段階から子供の空間認識能力を鍛えていくことが大切です。それには、日常の中から図形や数字をイメージする機会を与えることが大切です。
小学校の義務教育では図形を本格的に勉強するのは、小学4年生からになりますので、それ以前から着手していくことを考えていくべきでしょう。
8歳までの大切な時期をどう過ごすか、それは子どもの一生を左右していくと言っても過言ではありません。





この記事を書いた人

大学で幼児教育・幼児心理を専攻。17年間進学塾講師を勤める。
空間把握能力と読解力を向上するメソッド導入などにも携わり、子供の教育プロセスをより良くする方法を学ぶ。子供の可能性は無限大であり、それをより教育に反映する手伝いができえばと、執筆活動に勤しむ。

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