自己肯定感とは何か
自己肯定とは、その名の通り「自分を肯定する」ことという意味です。
他人より足が早い、他人よりも記憶力がいいなどの得意なことがあり、それを周囲にも認めてもらえている子供は、自尊心が高く、自己肯定感も高い傾向にあります。しかし、本来の自己肯定感とは、能力や性格などに左右されません。
「ありのままの自分を受け入れることができる」ことが、自己肯定感の高い状態です。
他人よりも足が遅くても、他人よりも記憶力が弱くても、それが自分だと素直に受け入れられれば自己肯定感は高く、ポジティブに生きていくことができます。
ありのままの自分を受け入れられるかどうかは、幼い頃の環境、
特に「親からどのような愛情を受けて育ってきたのか」が大きな影響を与えるのです。
子供は愛情を受けられない理由を自分に探す
育児放棄や虐待を受けて育った子供の自己肯定感は低い傾向にあります。
それは、親と接する過程で、存在を否定されて育っていることが原因です。
「自分はここにいてはいけない存在なんだ」と日々無意識に思い続けてしまうことによって、将来的な自己肯定感の低さにも繋がっていくのです。
このように、子供は愛情を受けられない理由を親にではなく、自分の中に探します。
親からの愛情を受けられないのは今の自分がダメだからと思い込んでしまうのです。こうして自己否定が強まっていきます。そして、どうすれば親に注目してもらえるのか、どうすれば親に気に入ってもらえるのかを考えます。
親子のコミュニケーションが希薄だったり、承認される機会がないとどうしても自己肯定感は低くなってしまうのです。
テストで満点を取ることばかりを求め、なぜ満点を取れなかったのかということばかりを追求するような接し方も同様です。
親として成長を願って目標を示したり、努力を促すことは大切ですが、同様にそこまでの努力にしっかり目を向けて、認めることもまた重要な愛情表現になります。愛情を感じ、承認されることで子供の自己肯定感は高まっていくのです。
温かくも厳しい育て方がベスト
ただし、子供のやることすべてを無条件で認めるわけではありません。自由すぎる育て方は、「世の中は自分の思うようにいく」という、行き過ぎた自己肯定感を生み出す危険性もあるからです。ダメな行動はダメだとはっきりと伝える必要はあります。それもまた大切な愛情表現です。
きちんと伝えなければいけないことには、毅然とした態度で接しつつも、子供の意見に耳を傾け、やりたいことがあればその支援を惜しまないといった「厳しくも温かい育て方」こそが、子供の自己肯定感を健全なものにします。
2013年にマッカーサー賞を受賞したアンジェラ・ダックワース氏は、その著書においてこのような育て方を「賢明な育て方」と表現しています。
厳しい要求だけを子どもに突き付けるだけの独裁的な育て方とも、要求も支援もしないような怠慢な育て方とも異なります。要求するだけでなく、手を差し伸べることにも熱心なのです。
まとめ
子供に厳しい要求をしたからといって自己肯定感が低くなるわけではなりません。子供の様子をしっかり観察し、困っていることがあればすぐに気が付き、何を考えているのか興味を持って接することで、厳しさと温かさを両立させることは可能なのです。
こうした愛情を受け、子供の自己肯定感は健全に高まっていき、物事を前向きに受け止めることができるポジティブな思考を身に付けていくのです。