早期教育のデメリットをカバーする方法〜子どもの明るい未来に向けて〜

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「早期教育」とは、小学校に入学する前の「未就学児」を対象に知識や技術の習得を指導することです。

早期教育には、子どもにとってメリットとデメリットの両方の側面があることが以前から議論されていますね。デメリットを恐れて足踏み状態・・・。というご家庭も多いかもしれません。

今回は早期教育のメリットについて解説するとともに、デメリットをカバーする対応方法についてお伝えしていきます。

早期教育のメリット

早期教育によって未就学児であるにも関わらずスラスラと四則計算ができたり、たくさんの漢字を読み書きできたりする子どもを見ると驚く人が多いでしょう。小学校高学年の内容はおろか、中学生のカリキュラムまで勉強している子どもすらいるほどです。このアドバンテージは今後の人生においてかなり大きいように思えますが、どうなのでしょうか?

能力の向上

0歳から5歳、飛躍的に脳神経が発達している時期であり、頭脳が柔軟なため知識や経験をとても吸収しやすい状態です。計算方法を教えていけば、たし算・ひき算からかけ算・わり算、そして小数・分数と、どんどん計算できるようになっていきます。読み書きについても同じ事が当てはまりますし、英語の学習についても同様です。環境さえ整えば高い知的能力を身につけていくことができる状態ではあるのです。

知的能力に限らず、身体能力も向上することができ、上手にピアノが弾けるようになったり、素早く泳ぐことができるようになったりと、驚異的な成長を見せることもあります。一流ピアニストやトップアスリートがこの年代から取り組んでいると聞いても、もはや珍しい話ではありません。むしろ小学生高学年や中学生になってから取り組み始めて、トッププロの仲間入りをするということの方が難しくなってきています。子どもの将来を考えたときに早期教育のメリットは間違いなくあるでしょう。

自信をつけさせることができる

早期教育のメリットは能力的な部分だけではなく、精神的な部分にも及びます。「難しい問題であっても自分は解ける」、「自分はできる」といった自信をつけていくことによって成功体験を積み上げていくことでできるからです。自信を持つことで、今後の人生においても様々な課題に果敢に挑戦していくことができるようになります。

 

内閣府ホームページ https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/h26gaiyou/tokushu.html

 

日本人は他の国民と比較して自己肯定感が低いという調査結果が、平成25年度に内閣府から発表されています。13歳から29歳の若者で、自分自身に満足していると回答した割合はアメリカの86.0%と比べて日本はわずか「45.8%」でした。うまくいくかわからないことに対して意欲的に取り組めるのかという意識調査も、アメリカの79.3%と比べ日本は「52.2%」と圧倒的に低い状態です。ちなみにどちらも隣国の韓国より低い数値になっていました。これがそのまま将来への希望に繋がっており、アメリカは91.1%とほとんどの若者が将来に希望を持っているのに対し、日本は将来に希望を持っている割合が「61.6%」と、自分の将来に明るい希望を持てていません。ですから現状の日本人の課題を克服していくためにも早期教育をうまく取り入れて、自信を付けさせていくことは重要なのではないでしょうか。

早期教育のデメリット

しかし、早期教育にもデメリットはありますし、やり方によってはデメリットの方が強くなる可能性があるので注意が必要です。

子どもの精神的負担

早期教育のデメリットのひとつは過度な取り組みによる「子どもの精神的負担」です。より高度な内容を要求されるようになりますので、ミスや失敗も多くなってきます。そうなると「失敗したら親に叱られる」、「成功して親に喜んでもらわなければならない」というプレッシャーが大きくなっていき、精神的に追い込まれていく危険性があるのです。これまではスイスイ成長してきたのに、高いハードルの前に伸び悩むタイミングも出てくるでしょう。焦りを感じ、精神をすり減らしていくような状態に陥るケースもあります。過度なプレッシャーによって精神面だけでなく、体調の異変などにも影響を及ぼすことにも繋がります。

自主性や創造性の発達の遅れ

早期教育のもうひとつの懸念材料が、ひたすら知識を詰め込んでいくだけの学習をしていくことで、「受け身の姿勢」になってしまうことです。本来であれば友達とたくさん遊んでコミュニケーションをとり、協調性や創造性を身につけていく時期なのですが、その機会を奪ってしまうと、「自主性や創造性の発達が遅れてしまいます」。計算にしても読み書きにしてもいずれはできるようになることなので、先取りして勉強するだけであればあまりメリットはありません。この時期の子どもにとって優先順位はどちらなのかという点がポイントです。押しつけられて勉強をしていると、反抗期になった際に勉強することを拒否するようになってしまうリスクもあります。こういったデメリットがフォーカスされ、早期教育が否定されるケースがあるので、なかなか実践できないといったご家庭も多いのではないでしょうか。

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デメリットへの対応方法

何事においてもメリットとデメリットはあります。大事なのはそれが何なのかを事前に確認しておき、デメリットを予防しつつ、メリットの面を大いに有効活用していくということです。ですから早期教育も扱い方がとても重要です。

早期教育に対する親の意識が重要

早期教育が子どもに過度な負担を課すリスクがあるという点は、親の意識や接し方でカバーすることが可能です。問題なのは「あそこの家の子どもには負けたくない」、「あそこの家の子どもができるのならうちの子どもできるはず」といったような、親の競争心によって早期教育が行われるケースでしょう。子どもは無意識のうちに「失敗すると親を落胆させてしまう」というプレッシャーを自分にかけてしまいます。つまり子どもの将来のためというより、親の自己満足を満たすための早期教育であればデメリットが強調される結果になってしまうということです。

誰かと比較するのではなく、子どもの「好奇心を引き出す」ためや、「自信をつける」ためといった子どもの可能性を広げるために早期教育を行うという意識を親がしっかりと持つことが重要になります

フローを作り出すポイント

心理学者のミハイ・チクセントミハイは、何かに没頭し時間が経つことも忘れるほど集中している精神状態のことを「フロー」と呼びました。新しいことを積極的にどんどん吸収し、ほどよい緊張から実力を発揮できるような理想的な精神状態です。やる気を高めるために「できたらご褒美」だとか「できなかったら叱る」というような「アメとムチ」のやり方では、子どもはフローにはなりません。目的が入れ替わってしまって、純粋に学ぶことが楽しいという状態を奪ってしまうからです。報酬には依存性があり、最初は満足感がありますが、報酬がなくなると途端に興味を失ってしまいます。

フローに大切なことは、「興味」そして「自ら楽しめるか」という点です。興味は外の世界との交流によって生れますから、早期教育は新しい世界に触れる絶好の機会です。ここで時間をかけて興味を深掘りすることができれば、さらに子どもは情熱を持つようになります。例えばNASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙飛行士であるマイク・ホプキンス氏は、何度もスペースシャトルの打ち上げを見て夢中になることができ、そこからさらに詳しく調べるようになったと語っています。この興味を持ち続けるための環境作りが、子どものフローを作り出すうえで最も重要な部分です。まずは子どもが好きになるように励ましたり、応援していくスタンスが必要になってきます。

自主性を育んでくれる指導者の存在

周囲の人からの肯定的なフィードバックによって、子どもはさらに楽しく感じたり、興味を持ったり、自信をつけることができるようになります。子どもに関わる周囲の人はとても重要な役割を持っているのです。その点を理解している指導者の存在はとても大きなものになるでしょう。単純に知識を詰め込むだけの指導者に子どもを任せるのは早期教育のデメリットである「受け身で取り組む」、「自主性や創造性が成長しない」という点に繋がっていきますので、どんなジャンルの早期教育を受けさせるにしても、どんな指導者に学ぶのかという点を事前にしっかり確認しておく必要があります。

無料体験などを行っているケースが多いので、まずは体験させてみて、指導者がどう子どもに関わっているのかを実際に見てみるのがいいでしょう。また、始めるにあたっては面談なども行われますので、指導者がどんな理念を持っているのか、どんな取り組み方で子どもの自主性を育んでいこうと考えているのかをぜひ聞いてみてください。賛同できる意見であれば始めていく価値は充分あります。逆に疑問を感じるのであれば、他を探してみるのがいいでしょう。

まとめ

世界の技術革新やグローバル化は想像以上に進んでいます。そんな中で高い自己肯定感を有して失敗を恐れず、創造性を持って新しいことにチャレンジできる人材はとても貴重です。早期教育はそういった人材の育成に大きな影響力を持っています。どうすれば子どもの可能性を広げ、幸せな人生を送ることができるようになるのか、親がその点をしっかり考えて早期教育を有効活用していくことが今後さらに必要になってくるのではないでしょうか。その際にはぜひ早期教育のデメリットを軽減させられる関わり方をしていくことが大切になります。




 

この記事を書いた人

大学で幼児教育・幼児心理を専攻。17年間進学塾講師を勤める。
空間把握能力と読解力を向上するメソッド導入などにも携わり、子供の教育プロセスをより良くする方法を学ぶ。子供の可能性は無限大であり、それをより教育に反映する手伝いができえばと、執筆活動に勤しむ。

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